What is happening?
2021年5月20日(木)
ベルリンの街に立ってみる企画の4日目。決めた日程の最後に当たるので、このあとこれを続けるかどうかちょっと迷っている。なんというか、とても複雑で面白い場所での取り組みは充実していると同時に緊張感もあるシチュエーションなので結構毎回消耗するのだ。予想に反して今日も道の角に警察の車があるし…でもそういうのにもちょっと慣れてきた。とにかく、何も考えずに立ってみようと覚悟を決めて、というかひとまず最後だと思って立つ。この日は、連邦議事堂の方を向いたところから始めてみた。草原が一面に輝いている。以前は誰でも気軽に憩うことのできる場所だった。でも今は立ち入り禁止だ。しかしそういった人々の営みや複雑な事情とは関係なく、草いきれと土の臭いが芳しい。その圧倒的な広さとその自然の複雑な営みが私を包み込むように感じ、静かで神聖な気持ちが湧いてくる。自分の立っている足元には石畳があって、その固い感触のひとつひとつが、どのような経路を辿ってきたのかはしらないけれど、長い長い歴史の中の一瞬この道の素材として使われていることの不思議。この4回の取り組みの中で、新たな一期一会の不思議な手踊みたいなものが湧き出てきた。その時、突然目の前で自転車に乗った人を追っかけて警察のバイクが急停車する。自分の中に急に恐怖が沸き起こる自分もついでに捕まるんじゃないか?という恐怖感。そんな理由はないはずだけど…。ちょっと緊張して立ち位置を変え、心の中で「集中、集中」と唱えていると、目の前の縁石に2センチ大くらいの羽のある虫がのたうっているのが見えた。ひっくり返って絶体絶命か、と思いきや自力で態勢をもどし、でもまたころんで、というのを繰り返している。暑いから道路が熱でこうなっているのだろうか?などと思いながらその虫に意識を向けながらしばらく踊っていると、警察のバイクと自転車のやりとりが終わったのか、警察のバイクが大きくUターン、またドキドキしながら踊り続けていると、すんなり元来た道を帰っていった。ホッとしたのもつかのま、こんどは大きな警察のバンがゆっくりと通り過ぎる。ちょっと速度を落として前を過ぎたその瞬間、ついに捕まるか?とか思ったけどそのまま通り過ぎた。またしてもドキドキしたけど、そういうあれこれを跳ね除けてエネルギーを自分の中心に集めて踊りきったなと感じた瞬間に終えた。この日は連邦議事堂前ではSPD(ドイツ社会民主党)という政党の赤い登りみたいなものをたくさん見た。ということは、何かしらの選挙運動でも行っていたのだろうか?ブランデンブルグ門あたりには今まで見たこともないほど大量の警察が投入されていた。また、乗り換えたアレキサンダープラッツあたりでは、警察が4〜5人のグループで人々を取り締まっている姿が見られた。普通の人々が常に警察に見張られているような状況になる時代がまた来るなんて、予想できていなかった。けれども、私が知らなかっただけで、そういう国々は今でもいっぱいある。人々は限定された自由の中で生きている。その限定が人を守ると感じるのか、あるいは自分が閉じ込められていると感じるか、状況や人の感じ方によってそれぞれだろう。けれども、あまりにも長く激しく限定されて、人々がそのことに慣れてしまったら、あるいはそれを望むようになったら、そのあとどのような時代になるのだろうか?ちょっとゾクっとする。
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