2021年2月3日水曜日

視点を動かして見ることができない世界の到来 2021年2月2日

私はある時期まで自分が、テレビと学校からの情報によって現実の世界が限定されていることに気づかないで生きていたように思う。たとえば実際に目の前で民俗芸能に触れ、習い、関わるまでは、あれだけの深い複雑な歴史の中で紡ぎ続けている芸能がこんなに豊かに存在することを全く知らなかった。テレビなどで紹介される情報は恐ろしく限定的で、そのフィルターを通して見ていたのだと思う。それだけじゃなく、様々な地域に生きる人々の姿、その多様さや、その地域の人々の口から口へと繋がっている別のちいさな歴史について、何も知らなかった。人の数だけ本当は感じ方や歴史があり、視点が違えば物事は全く違って見えるはずである。それでも、直接様々な人と関わり、人と人の間から聞き取る私の小さなもう一つの現実というのがあり、それが物事を多様な見方に導いていてくれたように思う。

今、このように人と人の接触が大幅に制限された世界で、人はそのような視点の動かし方をすることができず、テレビとインターネットの情報を通してのみ世界を見ることになる。そこには人為的な世論操作も介入できる。それも一つの国の中だけでなく全世界にくまなくである。これは本当に恐ろしいことが起きているのではないだろうか?

しかし恐れるということは、今一番遠ざけるべきことでもあり、今失われ続けることを観察し、関わりの可能性、視点の動かし方の可能性、そのうえで感じ方の可能性や弾力性が失われずにどうしたらいられるか考え続けたい。

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