2015年5月14日木曜日

制作日誌11 身振り ナンバから南蛮へ

私的解剖実験−6のファイルの中に福岡市博物館でもらった常設展示の解説「身振りー都会と田舎のしぐさー」という解説書があって読み返してまたいろいろ考えさせられた。かつての日本人の歩き方は「ナンバ」であったが、それは「南蛮」という言葉から来たと言われる。しかしこの書ではその説をあやしいとしている。日本舞踊では「ナンバ」と「南蛮」、二つの歩きの方を今に伝えていて、上体を捻らない足の運びをナンバ、人形の降矢滑稽実を出すときに用いられる手を振る動作を表現したものを南蛮といい、使い分けがあるようです。これから考えられることは、手を振らずに下半身の力だけで進む歩き方が、固有の身振りであったということでしょう。南蛮という言葉は手を振るのは西洋由来のものであることを伝えていることになりますね。現代の歩き方(つまり南蛮)の起源は明治18年から全国で実施された「兵式体操」にあるようです。西洋の身振りを取り入れた学校教育で訓練されたものです。 このように、私たち日常の身振りでさえ「正しい」とされる基準あらわれて、それまで自然にやっていたことを強制的に変更させられている。それを「虚像化」と呼んでいいのではないか?と思う。「正しい」基準は俯瞰した視点から私たちを見た結果で、その視点が私たち自身に貼付けられ続けていることが、虚像化を止められない原因のように思えます。 写真は記事とは関係なく、よもぎとどくだみ(野草茶にする)と草イチゴを庭で取ったものです。

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