ベルリンに移住するという選択は、結果的にたくさんの物事の移行を意味した。
それまで自分が抱え続けていた「物」や「事」が、整理のつかないぐちゃぐちゃした山のようになっていたり、分類しているつもりが混線したりしていたり、そういったいろいろを解きほぐしたり、本当に何が必要か?ということを取捨選択したり、思い切って捨てる物は捨てたりするというようなことがたくさん起きた。このプロセスで、私は今までの胸がきゅんとなるような思い出や感慨を通過する事になった。自分の半生を振り返る(というと大げさだけど)、まさに死ぬ瞬間に一瞬でやるようなことを、ゆっくりと時間をかけてやっているという感じなのかもしれない。今まで、様々な節目というものがあったけれど、実際に物理的に生きる場所を変えるということの、一番大きな変化を迎えるにあたって、これは当然と言えるかもしれない。もちろん、先の事はわからないので、これを経ても、対して何も変わらないということもありえるけれど。なんとなく、変化の覚悟みたいなものは自分の中にあるようである。私だけでなく、息子も、今まで山のように捨てられずに抱え続けていた作りかけの物体、素材、壊れた大量の物、愛着のあるぬいぐるみなどなど、大量に人に譲ったり捨てたりした。そして、数個のダンボールとスーツケースに納める。そのプロセスは物理的だけど心理的な何かに深く作用するような感じもした。
つづく
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