●盆踊りとの出会い
お盆という行事を、子供のころに意識するような思い出をほとんど持っていない。曽祖母は部屋に仏壇があったりして、仏教的な習慣みたいな何かがあったと思われるけれど、祖母はクリスチャンで、父は無宗教。家族で神社に行くこともお寺に行くこともほとんどなかった。夏になると地域の盆踊りがあったけど、死者を祀っているという感じは全くなかったし、ただ地域のお祭りということだったのだと思う。それも、近代盆踊りというか、演歌、民謡の歌手が歌っているような感じのものだったし。
白石島の盆踊りに出会っていらい、さまざまな古い時代からの盆踊りに出会って、新盆という名称もそのあと初めて知った。先日、糸島市の姫島に盆踊りを見に行った。白石島と同じように、太鼓と口説きで行う踊りで、亡くなった人と一緒に踊ったあとはとても豪華な灯籠を海に流して花火を打ち上げる。灯籠に仏様を乗せて浄土に送るということなのだと思う。天国ではなく浄土というのは水平方向の向こう側にあるという感じがする。しみじみと、でもとても楽しげな見送りの時間。真っ暗な空と海の、境界のあいまいなところに向かって船が進み花火の明るい炎が煌めいて、死者への思いが明るい光に変わるような時間をしばし味わう。
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